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【China Joy2018】盛大ゲームズ副総裁インタビュー

インタビュー

今年のChina Joyのキーワードは2次元と言えるだろう。会場を埋め尽くす2次元スマホゲームの中でも特に目を引いたのが2次元スマホゲームを3タイトル展示していた盛大ゲームズだ。これらのタイトルは盛大ゲームズの新しい2次元ブランド「i次元」によるものだ。

以下にGameLookが行った盛大ゲームズ副総裁「譚雁峰」氏へのインタビューを紹介したい。激動の中国スマホゲーム市場の最前線にいる譚氏のインタビューには数多くの示唆とその裏付けとなる経験が含まれている。長文にはなるが是非とも一読していただきたい。

以下、GameLookのインタビュー


(盛大ゲームズ副総裁の譚氏)

2次元ブランド「i次元」とは?

GameLook(以下、GL):盛大ゲームズは新しい2次元ブランド「i次元」を発表しました。これは2次元に特化したプラットフォームなのでしょうか?

譚雁峰氏(以下、譚氏):私達は2次元領域に参入したいと考えており、どこかに参入の突破口が必要だと考えていました。現にいくつかの会社さんは2次元領域でとても素晴らしいパフォーマンスを発揮されています。突破口を探るに当たり開発サイドからのアプローチとして、開発チームに投資したりパブリッシングタイトルを契約したりしました。また「Fallout」のベセスダ・ソフトワークスとも深い協業関係にありますし、ベセスダ・ソフトワークスが自社のタイトルを他社と共同で配信するということも初めてのことでした。
運営・マーケティングサイドからのアプローチとしては、ご質問にある「i次元」を挙げることができます。「i次元」はプラットフォームでもなければ単一のプロジェクトでもありません。「i次元」とはブランドであり、運営・マーケティングの理念を指しています。この理念は従来の運営・マーケティング手法とは異なり、運営の精緻化、バイラルマーケティングとコンテンツマーケティングであると言えます。
ユーザーへの向き合いとしては例えば2次元ポータルサイト「矩阵」など新しい流入経路を用意しています。ざっくりとまとめると「i次元」というのはプロジェクトへの投資から運営・マーケティング理念、ユーザーの流入経路の拡充までを含む包括的なエコシステムと言えます。

GL:盛大ゲームズがこれほどまで力を入れて2次元市場に参入しようとしています。今どのように2次元ゲーム市場を見ていますか?また現状、売上の多い2次元ゲームはそれほど多くありませんが、盛大ゲームズがこの市場に参入する理由はなんですか?

譚氏:まず、この市場の成長がとても速いことが理由の一つです。外部のデータをみていると、今年2次元市場の規模は200億元(約3200億円)程度に、5年後には1000億元(約1兆6000億円)規模になると言われています。これほど成長の速い市場というのは1つのチャンスだと捉えています。
次に、盛大ゲームズには多くの2次元タイトルの運営実績があることが参入理由として挙げられます。中国国内の最初期の2次元タイトル「拡散性ミリオンアーサー」に始まり、自社開発タイトルの「神無月」やこれから配信を予定しているタイトルまで多くの2次元タイトルの運営と開発の経験があります。また、「Love Live!」のようなタイトルも運営しているので、経験やリソースは充分にあると考えています。
三点目に挙げられるのは、業界を取り巻く市場環境です。2次元系タイトルに必要なのはゲームを支持してくれるコアユーザーと長期運営、バイラルマーケティングです。プラットフォームやトラフィックからユーザーを買ってくるといった従来のマーケティング手法への比重はそれほど大きくありません。盛大ゲームズが自分たちのウィークポイントを避けて事業展開を行うため、というのも2次元領域への参入の理由です。


(「神無月」中国版のポスター)

GL:日本風のタイトルは2次元の主流になると思いますか?

譚氏:これはユーザーのニーズによって決まることだと思います。現状、中国の2次元ユーザーのコア層は皆日本の作品を見て育ってきました。私達が2次元タイトルをリリースする時もこの層の人たちが一番受け入れてくれています。ですが、中国人声優の人気も高まってきていますし、ファンもまだまだ増えると思います。中国産アニメも人気がでてきていますし、徐々に頭角を現してきていますよね。なので、日本風タイトルだけが唯一の未来だとは思っていません。そして、2次元市場にはもう一つ重要なニッチ分野があります。それは中国の歴史題材をモチーフにした作品を分類した「古風」ジャンルです。このジャンルが好きな層は日本風の作品にはそれほど反応を示しません。唐時代や漢時代の要素を取り入れたほうがより喜ばれる傾向があります。

■Tencentとの協業について

GL:今年2月盛大ゲームズはテンセントからの出資を受け入れました。盛大ゲームズとTencentとの分業はどのようになっているのでしょうか?また、どのようにしてTenecntによる運営、自社による運営と振り分けているのでしょうか?

譚氏:日常業務に関してTencentが関与することはほとんどありません。Tencent目線で言うと、彼らは強大なプラットフォームを有しているので良質なCPを必要としています。例えば、西山居や畅游などです。
現在、市場のニッチ化がますます進み、各社自身の専門性を活かしたゲーム作りができる状況だと考えています。Tencentはインキュベーション能力も非常に優れているので盛大ゲームズの持つIPとCPとしての優位性と合わせて、お互いの強みを活かしたいと考えています。
仮に良いタイトルがあったとして、Tencentに運営をお願いした場合、私達は彼らの抱えるより多くのユーザーを得ることができます。こうした関係はお互いの強みを活かした「1+1=2以上」の関係だと言えると思いますし、盛大ゲームズがいくつかのタイトルをTencentから出すことは理にかなっていると思います。
もちろん2次元タイトルなど盛大ゲームズが自社で出した方が良いタイトルは自社で出すことになります。なのでこのジャンルのゲームは絶対にTencentから出す、このジャンルは盛大ゲームズから出す、といった取り決めではありません。

■中国ゲーム業界が直面する3つの苦境とは?

GL:2次元以外の盛大ゲームズのタイトルラインナップを教えてください。

譚氏:主に2方面あります。一つは運営サイド、先程触れた2次元への積極展開です。もう一つは開発サイドで、私達は同時に20タイトル開発を行っています。これにはTencentと協業し間もなくリリースとなる「光明勇士」が含まれます。他にも「トキメキファンタジー ラテール」や「Fallout Shelter」といったIPを用いたタイトルを開発しています。これらタイトルもTencentが足並みを揃え協力をしてくれる予定です。またIPタイトル以外にもバトルロワイヤルとMOBAを融合させたタイトルやアイドル育成系などを開発しています。


(「光明勇士」のChina Joy2018用画像)

GL:これらのタイトルは盛大ゲームズがかつて得意としていたジャンルでは無いように思います。盛大ゲームズとして各ジャンルに展開していく必要があるということでしょうか?

譚氏:そういうわけではありません。我々は開発チームの能力によってタイトルラインナップを決めています。少し前までは盛大ゲームズの開発チームはMMOを得意としていました。2年前盛大ゲームズがリストラを行っている時、業界内で色々な噂話が飛び交いましたが、我々はその当時から開発リソースへの投資を強化していました。
当時盛大ゲームズの開発規模は600名程度で今の60~70%の規模でした。人数が倍増したことで私達の開発チームの構成もバリエーション豊かになりました。なので、昔のようにMMO一辺倒ではなく、かつて開発したことのなかったジャンルのタイトルを開発するようになりました。また開発力も向上しています。

GL:「Fallout Shelter」はベセスダ・ソフトワークスの著名IPタイトルで全世界でのDL数は1億回を超えています。盛大ゲームズはこのIPのオンラインゲーム化にあたりどのようにベセスダ・ソフトワークス側と協業しているのでしょうか?

譚氏:簡単に言うと共同開発です。主な開発スタッフは盛大ゲームズが提供し、企画内容をベセスダ・ソフトワークスと一緒に詰めていく感じです。数年前にβテストを行いましたが、その数字はとても良いもので私個人の予想を超えていました。このタイトルはおそらく今年中には出せると思います。

GL:このタイトルは盛大ゲームズの世界展開への試金石となりますか?

譚氏:我々が持っているのはアジア太平洋地区の配信権なので、その他の地域はベセスダ・ソフトワークスが配信するのではないでしょうか。

GL:「Fallout Shelter」のオンラインゲーム版はスタンドアローン版とどこが違いますか?

譚氏:私は最大の違いはユーザー間のコミュニケーションがより密になる、という点だと思います。その過程でユーザーはより多くの楽しみを見つけることができると思います。そして、オンラインゲーム版ではカードゲームと城建築システムの融合があります。スタンドアローン版のベテランユーザーにとっても原作の再現度が高く好意的に受け入れてもらっています。またこの手のコミュニケーションが多いゲームプレイはベテランユーザーも好きな遊び方なので今のところまずまずの評価を得ています。

GL:業界の話題としてゲームのハイクオリティ化が良く挙がりますが、ゲーム開発のコストは高くなる一方ですし、開発会社の数も減少しています。これらをどのように考えますか?

譚氏:これも今年業界が直面している苦境の一つだと思います。私は今年業界には3つの苦境があると思っています。これらは間もなく公開されるレポートなどからも明らかになると思いますが、ゲーム市場の成長速度がここ数年で最低レベルに減退しています。また、他にはご質問にあるように業界全体の開発量の低下があると思います。私達の会社の定点観測によると、昨年の今頃は週次で100タイトル程度がβテストを行っていましたが、最近では50タイトルにも達していません。主な要因は大量の中小デベロッパーがなくなってしまったことによると思います。またその原因は、業界の技術水準の向上により参入障壁が上がったことだと考えています。例えると、30~40点くらいの水準では開発持続不可、50~60点くらいで地に這いつくばってギリギリ耐えているような状態といえます。このようにデベロッパーが生存圧力を受けている時に良く見られるのがガワ変えやパクリでコストを抑えるというやり方です。続けると、70~80点の水準でようやくゲーム作りに専念できる状態にあると言えますが、開発期間とゲームリリースまでにはより多くの歳月が必要となります。よって業界全体を俯瞰すると開発量が急速に低下するという事態になっているのだと思います。

ゲームユーザーの流入の観点から見ると、昨年から今年にかけて流入経路の集中化がより鮮明になったと思います。多くのユーザー流入経路はTencent系列やアリババ系列、Toutiao系列、新浪系列、Baidu系列などに集中しています。彼らはモバイルネットワーク上のトラフィックの大部分を占めています。3,4年前はまだアプリプラットフォーム間での競争が主だった流入経路だったので、誰がより低い価格でトラフィックを買えるか?が勝ち負けを決めていましたが、今はトラフィックの集中度が非常に高くなったので、誰が高値で入札できるか?がユーザーを獲得する決め手になっているように思います。
最後にユーザーサイドから見ると、中国人口の規模による恩恵は過去のものになったと思います。仮に新しいユーザーが来たとしても短尺ビデオなど他のエンタメアプリに可処分時間を奪われてしまっています。そういった状況なのでユーザーも優先的に選択するのは「王者栄耀」やバトルロワイヤル系の低課金で遊べるゲームとなります。この層のユーザーは一定の時間をかければ我々が言うところのコアゲーマーになりますが、問題点としてはコアゲーマーになる前に他のアプリに時間を奪われてしまっています。既存の市場の中ではトップゲームが大量のコアゲーマーを囲い込んでいます。以前は1タイトルで2年間持てばライフサイクルが長いと話していましたが、今では4,5年運営が続くタイトルは普通になりました。タイトルの長期化も新しいユーザーの獲得という点からすると障壁になっています。株式市場でも苦境はありゲーム企業の株価は下落を続けています。

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Original Source:http://www.gamelook.com.cn/2018/08/337367
(翻訳・再編:ゲーム大陸)