8/2「遊戯葡萄」、「三文娯」、「Funtoy Games」主催による2次元ゲームの最先端を行く各社の高官を招いたセッションが上海にて行われた。
登壇者はbilibiliゲーム事業部副総経理「于楊」氏、Funtoy Games CEOの「周永峰」氏(代表作「食之契約」)、xiimoon CEOの「馮荆荆」氏(代表作「執剣之刻」)、盛大ゲームズ商務発行中心総経理「張瑾」氏(代表作「神無月」)、上海Yostar網絡CEO「姚蒙」氏(代表作「アズールレーン」)という錚々たる面々が一同に介し2次元ゲーム市場の最近の動向、開発、運営に対する考えや今後のビジネスチャンスなどに関しパネルディスカッションを行った。
以下に「遊戯葡萄」がまとめた当パネルディスカッションの中編を紹介したい。
前編はこちら:「トップランナーが語る中国2次元の今」
後編はこちら:「中国2次元の未来は?」
司会:海外の2次元ユーザーと中国の2次元ユーザーの求めるものにはどのような違いがありますか?海外の2次元ユーザーにはどのような傾向があるのでしょうか?
Yostar:中国市場と日本市場の比較をしてみたいと思います。
中国の2次元ユーザーの年齢層は比較的低く、市場の拡大と共に2次元と3次元の境界が曖昧になりました。
ユーザー層の属性も複雑化してきています。ハードコアなゲームにも色んな種類がありますが、品質さえ良ければやはりそれを受けいれてくれるユーザーが存在しています。
日本ではどういう状況かと言うと、更に成熟していてユーザーの嗜好は比較的固まってきています。
ゲームユーザー全体の年齢層は高めです。2次元スマホゲームのユーザーの特性は更に突出していて、彼らは複雑なゲームシステムに対する受容度はそれほど高くありません。
なので日本のユーザーと比べると中国のユーザーはゲームに対する受容度が高いと言えます。
反対にコアゲーマーのゲームに対する認識というのは中国も日本もある程度統一されているので、中国産の2次元ゲームを日本に出すときはあまり手を加えなくても良いというのは、そういうことだと思います。
そして、色々と変更が必要になるタイトルというのはそもそも生き残るのが難しいということだと思います。
司会:この1,2年中国産の2次元ゲームが海外で成功しています。このジャンルのゲームにとって、海外進出は好機と捉えて良いのでしょうか?
Yostar: まず初めにパブリッシャーとして言えることは、海外進出に成功すると売上の規模を大きくすることができます。
これは会社にとってとても重要なことです。
日本市場に進出できたとした場合、2次元ゲームにとっての最大のメリットは質の飛躍のきっかけを得られることだと思います。
特に現地の開発者、一流の原作者と一緒にゲームの品質を高めていけたり、ゲームIPとしてのコンテンツを作り込んでいけたりする、ということはとても良い機会だと思います。
ただ、これは海外進出が全ての2次元ゲームにとってチャンスだ、ということではありません。
他社のタイトルがヒットしたからと言って自社のタイトルも成功するとはかぎりません。
もし、チームが2次元ゲームのゲームプレイやキャラ設定、没入感やIPとしてのこだわりなどをしっかりと作り込んで、ゲーム自体を面白くすることができれば、海外市場でのチャンスはあると思います。
重んじるべきはやはりゲームのクオリティで、中国で成功した2次元タイトルは海外でも成功する確率が非常に高いと思います。
逆に中国でユーザーに受けなかったタイトルは海外に展開しても成功する確率は比較的低いと思います。
司会:CPからは海外の2次元ゲーム市場はどのように見えていますか?そしてどのように展開する予定ですか?
xiimoon:私達は非常に海外市場を重視しています。
特に日本市場です。世界的に見て2次元ユーザーのゲームに対する趣向は比較的近い傾向にあります。
2次元の源流は日本系のACGカルチャーです。なので私達がこのジャンルを選んだ時から既に中国市場だけでなく、世界中の2次元ユーザーの嗜好と市場の空きを考えています。
本質的には高品質なタイトルを創り出し、全世界の2次元ユーザーに喜んで欲しいと思っています。
Funtoy:今となってはCPとして新規プロジェクトを立ち上げるにあたり、海外進出というのは必ず視野に入れるべき項目となっています。
なので多くのディティールの部分で余裕をもたせ、各国展開に合わせてローカライズを行いやすいようにしています。
例えば、「UIは漢字表記だけを念頭に置いた設計にしない。海外の言語では文字数が足りなくなる可能性がある。」などです。
これを事前に行っていないと多くの繰り返し作業が発生し海外進出の妨げとなります。
これらディティールの設計は新規プロジェクト立案時や開発の過程において考慮すべき事項だと思っています。
司会:先程話題に上りましたキャラ設定が大事だ、というお話しですが(注:前編で各社2次元はキャラ設定が命であるとの考えを発言した)、最近、擬人化という設定は中国2次元タイトルのクリエイティブにブレーキをかけているのではないか?との見方がありますが、皆さんはどのようにお考えでしょうか?
Yostar:開発チームが擬人化モチーフを選ぶ理由ですが、やはり擬人化には現実世界に依存している部分があり、そのおかげで設定に深みが出しやすい長所がありますし、ユーザーも受け入れやすいと思います。
ただゲーム提供側が擬人化モチーフのタイトルを出しすぎたため、ユーザーからすると見飽きた感はあると思いますし、それが一種の成長の妨げになっていると思います。
ただ、私は擬人化の最も重要な点は「世界観を如何に独自のものにするか?」だと思っています。
安直に擬人化を選ぶのではなく、ゲームの内外の要素を上手く組み合わせた多くの設計と設定が必要だと思います。
擬人化の有無にかかわらず、今の日本では大手会社がゲームをリリースする前にアニメとの連動や大型の企画などを行わないと本気の勝負タイトルとはみなしてもらえません。
なので擬人化というのが重要なわけではありません。
なにより、ゲームを1タイトルしっかりと作り込む難易度と参入障壁はますます高くなってきていますし、今は一昔前のような簡単な時代ではないと言えます。
xiimoon:擬人化というのは開発からすると具象化の対象であって、ユーザーの没入感を促進する作用があると考えています。
擬人化の対象となるモノの多くはユーザーが既に普段から馴染みのあるモノであることが多いと思います。
なのでそれら擬人化されたキャラクタに接した時、その背景にある設定などを思い描くことができます。
現在、擬人化コンテンツが増えてからというもの、確かにユーザーが飽きている側面はあると思います。
ただ、この状況を発奮材料として企業側も新しいモチーフを創り出すべきだと思います。
司会:bilibiliは多くの2次元コンテンツを見てきたと思いますが、擬人化は2次元ゲームの発展の妨げになっていると思いますか?ユーザーはこれらのモチーフに対する反応はどういったものですか?
bilibili:私達からすると擬人化タイトルは確かに増えていると言えますし、多種多様な想像つかないようなものまで擬人化の題材になり得ます。
ただユーザーからすると擬人化モノに対してはそれほど極端な反感は覚えていないように思います。
彼らは「これも擬人化、あれも擬人化か」と思うよりももっとゲームのキャラ設定が良いか悪いか?を見ています。
なので、私の答えとしては、業界発展の妨げにはなっていない、となります。
重要なのは開発チームの開発理念だと思います。
擬人化は開発の難易度を引き下げてくれますし、モチーフとしてのリスクはありません。
他の利点としては、ユーザーのモチーフ理解の学習コストが低く、多くのキャラクタ説明を必要としない、という点も挙げられます。
但し、キャラクタ設定にはより多くの工夫や心をこめたブラッシュアップが必要で、これをせず擬人化を作業効率化として捉えてしまうと、おそらくクオリティの高いものは作れないと思います。
よってユーザーは量産型化してしまった擬人化タイトルを支持していません。
理由はそういった量産型タイトルは「本当に心から擬人化させたいと思ってキャラクタを産み出しているのか?」、「立ち絵やイラストのタッチ、テキスト、言葉使い、性格、ストーリー、など独自の色を出せているのか?」を厳しくチェックするからです。
もし、なんとなく擬人化して作ったようなタイトルであれば、ユーザーの支持を得ることはできないと思います。
私達は日本市場で大量の擬人化ゲームを見てきました。
これほど長い歳月をかけ発展し今に至っている訳ですから擬人化というのはやはりとても重要な開発理念だと思います。
そしてまだまだ優秀なタイトルを生み出せる手法だと思います。なので、擬人化という手法が問題なのではないと思います。
一部の開発チームが手早く開発するための手法とみなして、大した工夫や作り込みも行わないことが問題の本質だと思います。
その3「中国2次元の未来は?」に続きます。
前編はこちら:「トップランナーが語る中国2次元の今」
後編はこちら:「中国2次元の未来は?」
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引用:http://youxiputao.com/articles/15612