『PUBG』『荒野行動』『フォートナイト(Fortnite)』、直近では『Apex Legends』が初月に約100億円(9200万ドル)の売上を記録するなど、バトルロワイヤル系のゲームが世界的にヒットしている。
『PUBG』が切り開いたこのジャンルは、これら大型タイトルだけで市場を独占してしまうのか。これら各タイトルの人気の程を見る限り、バトルロワイヤル市場に参入の余地は残されていない様にも思える。
そんなバトロワ系ジャンルにおいて、一風変わった戦略で成功を収めているゲームがある。
『Free Fire』とは一体?
一風変わった戦略で大作バトロワ系ゲームとの衝突を避け、東南アジアやラテンアメリカ市場で人気を博しているゲームに『Garena Free Fire(以下Free Fire)』がある。
同作の概要は以下の通りだ。
同作は17年10月にAndroid版を、同11月にiOS版を、中国以外の地域でリリースしたバトルロワイヤル系のスマホゲームだ。
『荒野行動』は同時期に中国iOS版をリリースしており、スマホゲームにおいてバトロワ系のゲームが出始めたタイミングと言える。
ゲームプレイ自体に大きな差別化要素はなく、パラシュートで戦場に降り立ち、武器などの装備品を集め、生き残りをかけて戦う。という流れになっている。
『Free Fire』のダウンロード数と売上は?
そんな『Free Fire』だが『App Annie』の統計によると、2019年1月、2月の全世界アプリダウンロードランキングでTop7を獲得している。
また『Sensor Tower』の統計では、同作の2019年2月のダウンロード数は2200万回、月売上は19.8億円(1800万ドル)にも上るという。
このダウンロード数は『PUBG:Mobile』やカジュアルゲームの『Subway Surfers』を上回る数字となっている。
(『Free Fire』のホーム画面)
『Free Fire』の下位互換戦略とは?
同作は如何にして、『PUBG:Mobile』をも上回るダウンロード数を記録し、月商約20億円という規模にまで上り詰めたのか。
その秘訣は東南アジアやラテンアメリカなど、低スペック端末ユーザーに照準を絞った『下位互換戦略』にある。
ここで言う『下位互換戦略』とは以下の事を指す。
『Free Fire』の具体的な施策は?
この『下位互換戦略』の下、『Free Fire』がどの様な施策を打っているのか、以下に見ていきたい。
■端末動作優先施策
当記事上部に『Free Fire』ホーム画面としてスクショを載せたが、これは公式サイトのシステム紹介ページにあったもので、一番盛れているスクショと考えて良いだろう。
実際に低スペック端末でプレイした際のゲーム画面は以下の様になっている。
3Dモデルは荒く、動きもぎこちない。地表の起伏も少なく、建物も四面体で構成するなど、低スペック端末と脆弱なネット環境を想定した工夫がなされている。
■ユーザー離脱防止施策
東南アジアやラテンアメリカと言ったユーザー数の多い地域に、低スペック端末対応のバトロワ系ゲームを出すことで、ブルーオーシャン市場にリーチすることに成功した。
ただ、ここで獲得したユーザーを離脱させてしまっては意味がない。この点に関しても『Free Fire』は同ジャンルの大作では見られないような、思い切った対策を講じている。
(『Free Fire』照射時のゲーム画面)
この手のゲームの醍醐味と言えば、敵を発見した際にすばやく照準を合わせて、敵を打ち倒す爽快感だろう。
『Free Fire』ではこういった指スキルを求める操作に手厚いサポートが用意されている。同作の照準サポート機能は自動モードとほぼ変わりがないほど補正を効かせている。
他にも、接近戦でのパンチ攻撃力が高い、車で轢くと大体瞬殺できる。といったゲームデザインもあり、これらも『ユーザー離脱を防ぐため』を中心に考えた結果であると思われる。
同作では他のバトロワ系ゲームのように、建物の中に入ることはできない。
装備品も自動で拾い上げ、より強いものに自動的に装備交換がなされるなど、随所にユーザーの離脱防止の為の工夫の跡が見て取れる。
『Free Fire』の課金システムは?
ゲームユーザーの離脱には幾重にも対策を講じている同作だが、課金周りはどうなっているかと言うと、バトルパス、アバター、スキンなどバトロワ系で効果が実証されている課金システムは軒並み実装されている。
(『Free Fire』バトルパス購入画面)
(『死者の日』に合わせたイベント販売アタバー)
(『Free Fire』の車のガチャ。レースゲーム並の品揃え)
『PUBG』『荒野行動』『フォートナイト』などに脚光が集まるバトロワ系ゲーム市場だが、いち早く東南アジアやラテンアメリカ市場に進出し、低スペック端末ユーザーに狙いを絞ることで『Free Fire』は成功を収めた。
同作の開発・運営を行う『Garena』は、『PUBG:Mobile』の開発を行うテンセント(Tencent)が30%の株式を取得している。
最後にテンセントの盤石ぶりが際立つ流れになってしまったが、『Free Fire』の成功事例は他のジャンルでも通用するのか。
同作の事例が日本ゲーム業界にとって、何かしらの参考になれば幸いである。
関連情報
Free Fire公式:http://ff.garena.com/index.html
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引用:http://youxiputao.com/articles/17284
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