韓国・釜山にて『G-STAR2019』が11月14日~17日の日程で開催された。中国のChina Joy、日本のTokyo Game Showと並びアジア圏では参加者の多いゲームショウだが今年はどうであったか。
『G-STAR2019』に参加していた韓国、日本、中国ゲーム業界人の見解を交えて以下に紹介したい。
BtoBにはテンセントのサポートプランが出展
BtoBエリアの出展企業数は公式のExhibitorリストによると350社以上とされているが、初日、2日目と回った限り、来場者数や真新しさなどの点から少し物足りない印象であった。
BtoBエリアの中国企業は『Virtuos』や『Winking』と言った、2Dや3Dのグラフィック制作を行う受託開発企業の出展が目立った。これはグラフィック制作の会社が今年特に多かったと言うよりも、数年前には多く見られた中国の開発会社や運営会社の出展が減った事により目立って見えたかたちだ。
そんな中にあって触れておきたいのが、テンセントの“イノベーティブゲームサポートプラン”『Game Without Borders(GWB)』の出展だ。
(G-STAR2019『テンセント GWB』ブース)
同ブースにいたテンセントのゲームインキュベーション責任者のRayen氏に話を聞いたところ、以下の様に『GWB』の活動と今後の計画を話してくれた。
【テンセントGWBの活動方針と今後の予定】
・ゲームインキュベーション事業はまだ立ち上がったばかり
・日本や韓国など海外中小デベロッパーとの接点を強くしたい
・中小デベロッパーのユニークなゲームをテンセントがサポート
・サポート内容はコンサルティング、テクニカル、パブリッシング、資金面、プロモーションと全面的にサポートプログラムを用意
・対象はPC、モバイル、HTML5でスタンドアローンからマルチプレイのゲームまで
・日本では京都のBitSummitへの出展を計画中
自社開発だけでなく、中国大手の開発タイトルも取り込むなど中国ゲーム業界の覇者となったテンセントだが、大手大作だけでなく、世界各国の中小デベロッパーから斬新なゲームをピックアップする目的で展開する『GWB』のサポートプログラムに“テンセントに死角なし“と感じた。
『GWB』の詳細は文末のリンクより公式サイトを確認して貰いたい。
BtoCには中国から3社が大型出展
BtoCエリアの出展企業数は公式のExhibitorリストによると約100社で、中国からは『ロードモバイル』のIGG、『崩壊3rd』『原神』のmiHoYoの他にNetEaseの『IdentityV』Zlongの『ラングリッサー モバイル』や『ドールズフロントライン』などの展示を行ったX.Dが出展を行っていた。
(G-STAR2019『X.D』ブース)
ゲーム大陸編集部ではBtoCのメインとなる週末に会場を回ることができなかったため、BtoCエリアの盛り上がりに関しては言及を控えるが、韓国市場における中国ゲームの存在感を考えるともう少し中国企業の出展があっても良いのではないかと感じた。
(G-STAR2019『IGG』ブース)
(G-STAR2019『miHoYo』ブース)
また、G-STAR2019期間中に日中韓のゲーム業界の人たちと意見交換をしたところ、以下の3点が日本市場と共通していると感じた。
【韓国市場と日本市場の共通点】
1. 大作主義になり中小が苦戦
2. 大作主義による新作数減少
3. 新作数が減少した市場に多くの中国産新作が参入
→ 市場シェアを奪われる
韓国産ゲームは中国政府の方針により、日本を含む他の海外産ゲームよりも『版号』取得が難しいとされている。
日本や韓国のゲームの中国市場への参入障壁の高さと、中国ゲームの日本、韓国市場への参入障壁の低さを比べると、ほぼ中国→日本・韓国への一方通行と言えるだろう。
ゲームファンからするとプレイできるゲームの幅が増えることは良いことかもしれないが、事業者からするとこの不公平な一方通行は死活問題となっている。
2013年から始まったスマホゲーム市場の拡大が一段落し、この様な中国の規制問題や、Apple、Googleの手数料などを倦む声も聞かれるようになってきた。
これらの問題点を克服しようとするエネルギーが、ゲーム業界の次なるブレイクスルーに繋がっていくのか。今後の展開を楽しみにしたい。
関連情報
G-STAR2019公式:https://www.gstar.or.kr/
テンセントGWB:https://gwb.tencent.com/
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