中国ゲームが市場を賑わすにつれ、中国ゲーム会社のプロデューサーは一体どの様な仕事をしているのか?どの様な人がいるのか?と興味を持つ方も少なくないのではないだろうか。
中国ゲーム業界に20年近く従事しているゲームプロデューサー謝氏にインタビューを申し込んだところ快諾いただけたので、前後編の2回に分けて紹介したい。
中国人ゲーマーは日本ゲームを再評価
前編はこちら!
【特別企画】中国ゲーム業界の生き字引!中国人プロデューサーが語る中国ゲーム市場とは
ゲーム大陸:日本のゲームは中国人ゲーマーからどの様にみられていますか?
謝氏:日本のゲームはかつて輝かしい一時代を築きました。それは日本に根ざした創作文化、独特な個性などの膨大な蓄積があるからです。
最近では、『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』『モンスターハンターワールド』『ダークソウル』などに代表される海外で高い評価を得るゲームの出現により、数年前にあった中国ユーザーの『日本のゲームは終わった』とのイメージも徐々に変わりつつあります。
個人的には日本ゲームの多様性、アニメ的な表現、アクションゲーム領域における蓄積、現代流行文化との融合などは、中国ユーザーに魅力的に映ると思っています。
ゲーム大陸:なるほど。謝さんは最近どんなゲームをプレイされているんですか?
謝氏:『十三機兵防衛圏』です。
ゲーム大陸:おお!流石ですね。『十三機兵防衛圏』のどの様な点が良いと思われますか?
謝氏:話し出すと止まらなくなるので、一言でまとめると『開発者の狂気』ですね。もちろん褒め言葉としてです。
ゲーム大陸:『開発者の狂気』という言葉がでましたが、謝さんがゲームを開発するときに一番大切にしていることは何でしょうか?
謝氏:個人的には『絶えず開発の実践を行うこと』を大切にしています。
創意やアイデアを素早くプロトタイプに落とし込み、開発の過程と完成後のフィードバックを通じて、自身の考えるゲームを磨き、具現化していくことが大事だと思います。
この過程を繰り返すことで比較的効率良くクオリティを高めることができますし、自分のレベルも高めることができます。
プロデューサーの仕事は中国も変わらない
ゲーム大陸:会社によって違うとは思いますが、中国のプロデューサーの仕事内容を教えて下さい。
謝氏:プロジェクト全体のマネジメントと進捗管理、人員アサイン、社内外との折衝などですね。多分、他の国のプロデューサーと変わらないと思います。プロデューサーの仕事を全うしようとすると、開発チームのコントロールが必要なので、ディレクターを兼務する人も多いですね。
ゲーム大陸:なるほど。日本のゲーム開発ではプロデューサーがプロジェクトの収支含めた全体統括、ディレクターがゲームデザインの責任者。と分業することが多いです。中国でもこの様な分業体制なのでしょうか?
謝氏:はい。中国の開発にも一般的にはプロデューサーとディレクターに相当するメインプランナーとの分業体制があります。ただ、実際の進行時には、日本の様な明確な責任分担が行われないことが良くあります。
例えば、いくつかの会社で見かける光景ですが、プロジェクトチームのメインプログラマ、メインデザイナーがその会社のCTOやクリエイティブ・ディレクターなどを兼務し、上級管理職である、というケースがあります。
彼らは実質メインプランナーよりも上席にあたるので、効率的な開発や責任所在を明らかにするために権限を一元化し、プロデューサーとメインプランナーを同一人物が担当する、ということが良くあります。
(謝氏 職場風景)
ゲーム大陸:中国のプロデューサーはプログラマー出身の方が多いイメージがありますが、実際はどうなんでしょうか?
謝氏:そうですね、プログラマー出身のプロデューサーは多いですね。
始めるハードルが低く人材にばらつきのあるプランナーやアート専門のデザイナーと違い、ゲーム業界のプログラマーは大半が良好な高等教育を受けて育ったエリートなので、理性的ですしロジカル思考の習慣があるので、ソフトウェアエンジニアリングの視点からゲーム開発を捉えることができ、マネジメントする上で優位性があるのかな、と思います。
ゲーム大陸:中国のゲーム開発は物量も凄いですもんね。実際はプロデューサーとディレクターが同一人物になっているケースが多いというのも納得できます。中国でスマホゲームを作る際の一般的なフローも教えて貰っても良いでしょうか。
謝氏:これも他の国の開発フローとあまり変わらないと思います。
『企画立案→プロトタイプ開発→正式開発→βテスト→オープンβテスト→商業化し運営』という流れです。
開発過程では、流行りのアジャイル開発を採用することが多いです。
ゲーム大陸:なるほど。では、最後に日本の読者の方に向けて一言お願いします。
謝氏:日本のゲームは中国のゲーム開発者にとって常に憧れの目標です。現在のスマホゲーム領域では、日中のゲームが互いを意識し、良い刺激を与えています。今後も皆さまと交流を深めていきたいと思いますし、日増しに激しさを増す環境ではありますが、相互理解を深め、切磋琢磨することで、ゲーム業界の更なる発展に貢献できればと思っております。
ゲーム大陸:貴重なお話しをどうもありがとうございました!
謝氏:こちらこそ、ありがとうございました!
謝氏インタビュー前編:こちら
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