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【インタビュー】『三国天武』『獅子の如く』の6Waves総裁が語る日本市場、日本人ユーザーとは?

インタビュー

Googleと中国ゲームメディア『手游那点事』の共催イベントで、『三国天武』『天地の如く』といったストラテジーゲームを中心に、日本市場で複数本のヒット作を出している中国系パブリッシャー6Wavesの総裁である吴乐信(Rex Ng)氏が日本市場展開時の心得を語った。

日本人は外国人とのPvPに躊躇する、収集が大事、TVCMは無駄があっても必要、など10年近く日本市場攻略を続ける同社の観点とは?

日本市場進出は10年前

問:まず2019年を振り返ってみてどうでしたか?

Rex:昨年は日本で2本の大型SLGを配信しました。一つは中国でテンセントが『乱世王者』として運営しているタイトルで日本名は『天地の如く』です。

もう一つは『獅子の如く(战国霸王战记)』で、この2本はこれまでで最もパフォーマンスが良いタイトルとなっています。

問:6Wavesは当初なぜ日本市場開拓を選択したのでしょうか?

Rex:2008年、まだモバイルゲーム市場が確立されていなかった頃、Facebookのソーシャルゲームがトレンドだったので、その領域で展開することに決めました。

その後2010年になり、日本でmixiやYabageと言ったPCブラウザゲームプラットフォームが出てきて、市場参入のチャンスだと思い、日本現地にチームを作り、日本人ユーザー向けのソーシャルゲームを作り始めました。

2013年からスマホゲーム市場が日本で立ち上がったことを受けて、スマホシフトを開始しました。


(6Wavesの過去のソーシャルゲーム)

こうして振り返ると、日本市場で10年近くゲーム事業を行って来ました。ハードルは高いですが、競合も相対的に少なく、我々の配信事業の価値を出しやすいのではないかと感じています。

日本市場で多くの経験を積んできましたし、ソーシャルゲームからスマホゲームへのシフトも成功し日本市場は我々の中で最も得意とする市場となりました。

問:会社の組織体制はどの様になっているのでしょうか?

Rex:現在、全世界に100名ほどのスタッフがおり、弊社の最大の市場は日本市場なので、大部分が東京オフィスで勤務しており、40名前後となります。他には北京に開発スタッフが30名、香港に30名という配置です。

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日本市場でヒット作を出す秘訣

問:『三国天武』『天地が如く』『獅子の如く』と連続してSLGを日本でヒットさせています。その秘訣はなんでしょうか?

Rex:大まかに2つあると思います。

一つは、日本市場をよく理解することです。日本のセールスランキングを見れば分かる通り、その80~90%が日本のゲーム会社さんのタイトルで、RPGが大半を占めています。

日本ユーザーはRPGが好きと言えますが、中国産のRPGはあまりチャンスは無いと思います。

では、なぜSLGを日本で展開しようとしたか?と言うと、SLGは中国で開発されたゲームの中で最もクオリティが高いジャンルだからです。また、良いゲームには市場のニーズが必ずあると考えています。

二つ目は、ゲームのエコシステムをしっかりと把握することです。日本は中国の様に、容易にユーザーを獲得することは出来ないので、自身のゲームを理解しないと、良いユーザーを獲得することはできません。

問:ですが、日本でもRPGを配信されヒットもしたと思いますが?

Rex:はい。ですが、RPGは競争が激しすぎるのと、毎年多くの新作がリリースされます。SLGはライフサイクルが長いという良さもあります。『三国天武』は5年くらい前にリリースしたタイトルですが、今でもとても安定しています。


(三国天武)

問:昨年リリースした『獅子の如く』は日本の戦国時代をモチーフにしたSLGです。三国志モチーフと比べ日本市場でのウケはどうでしたか?

Rex:良かったですね。日本市場には既に多くの三国志モチーフのSLGがありますが、戦国時代をモチーフにしたものは多くありません。なので、チャンスがあるのではないかと思っていました。

『獅子の如く』は開発会社と私たちが一緒に作ったもので、私たちの日本支社からも多くの提案を貰いました。

その結果、市場の反応も良く、『三国天武』と比べ事前登録数は約2倍の約15万人とサービス開始時から多くのユーザーさんに注目して貰い、ゲームのエコシステムも非常に健康な状態となりました。


(獅子の如く)

問:SLGのどこを重視しているのでしょうか?

Rex:SLGの収益性は調整できる自信があるので、それほど心配していません。なので、重視しているのは継続率です。

もちろん30日継続率、180日継続率と長期で見たいですが、それほど長く待ってから次の機能追加を決めていては継続率を改善することはできません。この辺りはGoogle Play Consoleでデータを分析し基準を作るようにしています。

我々の経験では、日ユーザーが9回ゲームを起動し、プレイタイムが90分/日に達していれば、継続率も良くなっています。

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日本ユーザーは外国人を攻撃できない?

問:この10年間で日本市場をどの様に振り返りますか?

Rex:経験は多く積みましたが、挑戦の連続でした。

まず、日本のユーザーさんはクオリティに対する要求がとても高いです。リリースされるゲームにバグは許されず、完成品で有るべき、との考えが強いです。なので、当初はどこまでQAを行えばよいのか、迷いもありました。

次に、日本ユーザーはRPGの影響がとても大きい点です。SLGの本質はPvPですが、日本ユーザーはSLGのゲームを初めていきなりPvPに誘導されるのは好みません

やはり最初はPvEから導入していく必要があります。なので、チュートリアルとゲーム初期では、できる限り直接PvPに誘導する設計は排除しています。


(獅子の如く)

また、日本ユーザーは収集がとても好きなので、ヒットしているSLGは収集要素が充実しているタイトルが多いです。

最後は、日本ユーザーは他国ユーザーとの同一サーバーでのプレイに不慣れだと言う点です。SLGはグローバルサーバーで運営を行う事が多いですが、このやり方は日本ユーザーに馴染みません。

彼らは他の国のユーザーを攻撃することに躊躇いがあるので、ゲーム体験に影響が出てしまいます。なので、日本は別サーバーにして日本人同士で一緒になるようにしています。

問:日本でSLGを配信するに当たり、どの様な準備をされますか?

Rex:SLGにとって、事前登録とリリース後2ヶ月がとても重要です。事前登録は45日から60日前に開始し、各種広告素材を準備します。

そして、リリース前にオフラインを含む多くのプロモーションを実施します。日本人ユーザーはそのゲームが信用できるか?を重視するので、オフライン施策を打つことでブランド価値を高め、コンバージョンが良くなると思います。

ただし、オフラインの難点は費用が高い点と、TVCMでは6ヶ月以上の準備期間が必要になる点です。

問:オフラインの効果測定は難しくないですか?

Rex:TVCMの場合だと、CM放映時の新規ダウンロード数から平均ダウンロード数を引くなどの方法で効果を見ています。無駄があるとも思いますが、ユーザーの信用度を高めるには、ブランディング広告も必要だと思います。


(『三国天武』TVCM)

問:ユーザー獲得はどの様に基準を設けていますか?

Rex:日本では量より質を重視しています。

量を重視していた時期もありましたが、2、3日もすれば流出してしまうユーザーがほとんどでした。短期間でユーザー数が大きく変動してしまうと、そのサーバーのエコシステムに悪影響が出るので、良い方法とは言えません。

日本でSLGユーザーを獲得するには3300円~4400円(30~40ドル)必要で、ROASで見ています。30日以内に広告出稿費用の20%を回収できる媒体であれば継続しています。

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関連情報

『手游那点事』インタビュー原文:こちら


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