オープンワールドRPG、マルチプラットフォーム、全世界同時配信と野心的なチャレンジが世界的なヒットに繋がった『原神』の開発、運営元『miHoYo』の海外配信責任者である金氏に中国ゲームメディア『手游那点事』がインタビューを行ったので、内容を要約して以下に紹介したい。
『原神』はスマホオープンワールドありきで起ち上げた
問:『原神』がリリースされてからしばらく経ちますが、予想以上のパフォーマンスですか?
金氏:予想通りのところも、予想以上のところもあり、まずまずだと思います。アジア地域は『崩壊3rd』の経験もあったので、予想通りと言えます。
問:リリース前はどの様に予測をしていたのでしょうか?
金氏:プロジェクトの起ち上げ時は長期運営ができるゲームにしたいと思っていました。
『崩壊3rd』が中国で4年目、海外で3年目となるのですが、DAUと売上の最高記録を毎年更新しているので、コンサバな見方をしていて、一気にユーザーが増えるというよりも、徐々に規模が大きくなるイメージでいました。
問:各国でスマホでのオープンワールドRPGへの反応はどうですか?
金氏:市場にスマホのオープンワールドゲームが少なかったこともあり、オープンワールドゲームを作りたいと当初から強く思っていました。
また、プロデューサーや開発陣もオープンワールドゲームが好きで、その楽しさをスマホでも表現できると考えていました。
国毎に傾向が違うというよりも、ユーザーのこれまでのゲーム体験やプラットフォームで反応が異るという感じです。
(『原神』フィールドマップ)
全世界同時配信は当初から決めていた
問:マルチプラットフォームでオープンワールドゲームを開発することもそうですが、全世界同時配信もとても野心的だと思います。当時はどの様にしてこの決定をしたのですか?
金氏:『崩壊3rd』で各国版のコンテンツに時差があり、各国のユーザーさんに同時に最新のコンテンツを届けたいと思っていました。
ということもあり、『崩壊3rd』の次回作は世界同時配信を行いたいと当初から決めていて、より多くの時間を『どの様に行うか?』を考えることに費やしました。
問:となると、準備期間や作業量が膨大になると思いますが、配信チームは何名くらいの規模なのでしょうか?
金氏:海外配信チームだけで200名以上の規模になっています。これは『原神』だけでなく、『崩壊3rd』などのタイトルも含まれます。
(『原神』バトルシーン)
問:『原神』の全世界配信を通じて御社が得意と感じる市場はどこですか?
金氏:やはり『崩壊3rd』の経験が豊富なアジア市場ですね。
問:振り返ってみて全世界同時配信の一番の難点は何ですか?
金氏:事前準備が膨大かつ多方面、多言語・多文化への理解と対応が必要な上に、プロジェクト自体が非常に大きいので、調整をしながら進行するのがとても難しかったです。足し算ではなく掛け算で難易度が増していくので。
また、参考となるベンチマークがなかったと言うのも難しかったですね。
『原神』開発チームは500名体制
問:『原神』は成功しましたか?スマホオープンワールドゲームのスタンダードと言えるでしょうか?
金氏:まだそこまでではないと思います。スマホオープンワールドはもっと多くのコンテンツを作れると思いますし、『原神』に関してもまだまだ多くのコンテンツをユーザーに届けたいと思っています。
問:以前、『原神』の開発費は110億円(1億ドル)という言い方をされていましたが、マーケ費を加えるとどのくらいの規模になるのでしょうか?
金氏:開発会社なので開発費が大半を占めています。マーケ費を足したとしても1億ドルプラスアルファくらいなもので、1億ドルというのは一つの全体的なざっくりした数字だと捉えて貰えればと思います。
問:なるほど。リリース直前の段階で開発チームは何名くらいの規模だったんでしょうか?
金氏:『原神』だと500名前後で、今後の長期運営、アップデート開発などを考えるとこの人数が減ることは無いと思います。
問:最後にこれまでの過程を振り返って如何ですか?
金氏:『原神』の情報初出後、様々な反響がありました。開発チームにとっても会社にとっても厳しい時期もありましたが、それでも『miHoYo』のゲームを応援して下さる方々からの暖かいメッセージに励まされ、今に至ることができました。
これからもユーザーの皆さんの期待に応えられるよう前進していきたいと思います。
当記事まとめ
■まとめ
・『原神』はスマホオープンワールドありきで起ち上げた
・全世界同時配信は当初から決めていた
・開発チームは500名規模。今後も増える
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