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【市場動向】中国上場ゲーム企業15社の決算報告書が語る開発方針——SLGとIPに集中、消えたタイトルも

中国ゲーム市場動向

中国ゲーム業界専門メディア・遊戯茶館が、上場ゲーム企業15社の2025年度決算報告書を横断的に分析した。各社が開示した開発中タイトル計128本を前期の半期報と照合したところ、複数プロジェクトの中止が確認された一方で、版号(発行許可)の取得や正式タイトルの公開など前進した案件も多数あった。本稿ではその内容を整理する。

祖龍娯楽:今年の国内新作はゼロ

祖龍娯楽は決算報告書で5本の開発中タイトルを公開した。そのうち『云梦西行』(半期報では「代号:逍遥」として掲載)は、2025年10月に版号を取得しテストを実施したが、ユーザー評価が振るわず開発中止となった。決算説明会で同社は「同チームのメンバーを『代号:愚者』など新プロジェクトへ異動させる」と説明している。この結果、祖龍娯楽は今年の国内市場に新作を投入しないことが確定した。

一方で海外展開は継続しており、『龍族:卡塞尔之門』は2025年に香港・マカオ・台湾・東南アジアで配信、今年3月に韓国上陸。日本・欧米への展開も計画されている。

祖龍娯楽が正式発表した『代号:愚者』|出典:遊戯茶館

阅文IPの許諾を受けたカードRPG『代号:愚者』(『诡秘之主』原作)は2026年内の配信を目標としており、祖龍娯楽の次期主力タイトルと位置づけられている。

友誼時光:女性向けに集中、サンリオIPも獲得

友誼時光は2年連続の赤字から黒字転換した。収益の9割を女性向けゲームが占めており、開発ラインナップも女性向けが中心だ。

友誼時光の女性向けゲームラインナップ|出典:遊戯茶館

日本市場向けタイトル『夢巡り少女~異世界宮廷綺譚~』(代号:FPJ)は内田真礼・斉藤壮馬ら著名声優を起用し、今年上半期の配信を見込む。サンリオとのライセンス契約で開発した『Hello Kitty My Dream Store』は海外では配信済みで、国内でも年初にテストを実施した。女性向け以外にも『代号:MX』(縦型放置ゲーム)・『代号:足球』など多角化を進めている。

儒意景秀:テンセントと連携、SLGと球技ゲームに注力

テンセントを大株主に持つ儒意景秀は、SLG分野を戦略的重点に据えている。テンセントの自社開発SLG『魔法门之英雄无敌:领主争霸』は2025年1月に大幅改修(ゲームデザイン・経済システムの刷新、課金テストへの返金対応)を経て、儒意景秀がパブリッシャーとして担当し、今年内のリリースを予定している。

EA FCとNBAのライセンスを取得して球技ゲームも開発中。映像部門(儒意電影)と協力したインタラクティブ映像ゲーム『千万别打开那扇门』なども手がける。

吉比特:年純利益約90%増、SLGにも参入

2025年に吉比特は『杖剑传说』『问剑长生』『道友来挖宝』などRPG新作を相次いで投入。さらに初のSLG参入となる『九牧之野』も配信し、これらが年純利益を前年比約90%増に押し上げた。今年Q1も前年同期比82.68%増と高成長を維持している。

吉比特は開発中タイトルの早期公開に慎重で、確度の低いプロジェクトは外部に公表しない方針を取っている。今年は出資先Hunter Studioの『失落城堡2』スマホ版をリリースする予定だ。

西山居・金山世游:『Goose Goose Duck』が急成長

金山世游のパーティーゲーム『Goose Goose Duck(鹅鸭杀)』は今年初頭からiOS無料ランキングで長期にわたり首位を獲得し、累計ユーザーが3000万人を突破した。同社は今後、ユーザー定着と課金の仕組みを強化する方針だ。同じ路線で『Angry Birds(愤怒的小鸟)』の許諾を受けたカジュアルゲーム2本も年内配信を予定している。

一方、西山居は『解限機』の市場失敗と既存タイトルの売上低下が重なり、親会社の金山游戏は2025年収益が前年比28%減。郭炜炜がCEOを退き、グループCEOの邹涛が兼任する体制となった。今年の西山居は目立った新作が少ない見込みだ。

37Games:26本の豊富な開発ラインナップ

37Gamesは自社開発11本、代理15本の計26本を開発中タイトルとして開示した。国内では『英雄没有闪』がApp Storeと微信小游戏の売上ランキングで上位を維持。海外では多年運営の『Puzzles & Survival』が12ヶ月連続でSensor Towerの月次売上ランキングに入り、2025年1月配信の『Last Asylum』も出海アプリの月収増加ランキングでトップ5入りを果たした。

開発中タイトルは『斗破苍穹』『斗罗大陆』『赘婿』など人気ウェブ小説IPの許諾を受けたゲームが多く、RPGから経営シミュレーションまでジャンルも幅広い。SLG分野では「代号K3(サバイバルSLG)」を重点タイトルに位置づけ、そのほか9本のSLG系タイトルを開発中だ。

SLGが各社の主戦場に

快手ゲームも『诡秘之主』IPのタイトルを開発中|出典:遊戯茶館

今回集計した15社のラインナップ全体を見渡すと、SLGはほぼ全社が注力するジャンルとなっている。ユーザーの離脱率が低く課金の深さが大きいSLGは、海外での受容も高いため、長期運営に適した「安定収益源」として各社が位置づけている。

同時に、成熟IPのライセンス活用も共通のトレンドだ。祖龍娯楽の『诡秘之主』(快手ゲームも同IPのタイトルを開発中)、友誼時光のサンリオIPなど、既知ブランドで市場リスクを下げ、幅広いユーザー層を取り込む戦略が広がっている。一方で新作はリスクが高く、テスト結果が悪ければ即座に開発を中止する実用主義的な姿勢も目立っている。

まとめ

2025年度の決算報告書から見えてくるのは、中国上場ゲーム企業が「選択と集中」を加速させている実態だ。テスト不振のタイトルを素早く切り捨て、SLGとIPという勝ちパターンに経営資源を集中させる動きが鮮明になっている。今年後半に向けては、儒意景秀・吉比特・37Gamesなど複数社のSLG新作が出揃う可能性があり、競争がさらに激化すると見られる。

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参照元:こちら

※レート注記:記事中の円換算は1元=22円、1ドル=150円で計算しています。