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【インタビュー】『アーチャー伝説』大切なのは良心に恥じないゲーム作り!中国海賊版対策など

インタビュー

『アーチャー伝説』の世界的な大ヒットにより一躍脚光を集めるHabby(海彼網絡)の創業者兼CEOの王嗣恩氏に、中国ゲーム企業の海外展開事例を中心に配信している『独立出海联合体』がインタビューを行った。

アーチャー伝説はハイパーカジュアルゲームではない、収益性だけを求めない、市場にないゲームを世に出す、良心に恥じないゲーム作り、ゲーム作りの難しさはゼロイチにあり。と語る同氏の考えとは?

(*中国語インタビューは2019年12月30日に掲載)

アーチャー伝説はハイパーカジュアルゲームではない

問:『アーチャー伝説』はハイパーカジュアルゲームではなく、カジュアルゲームだという意見もあります。どう思いますか?

王氏:アーチャー伝説は間違いなくハイパーカジュアルゲームではなく、ミッドコアゲームだと思っています。

問:このタイトルは、最初に海外でリリースされ、その後中国国内でリリースされました。プロジェクト立ち上げ時はどのような考え方をしていたのでしょうか?

王氏:私たちの一般的なプロジェクトの立ち上げ方法は、プロデューサーがインスピレーションやアイデアを持っているかを見て、それに基づいてプロトタイプを作るとところから始まります。

そして、そのプロトタイプは必ず市場にないタイプのものでなければなりません。そしてその過程で、市場に出回っているゲームをマッピングしていきます。 今まで私たちが作ってきたゲームは広告モデルで比較的ライトなゲームが多かったので、それをどうするかを考えました。


(『アーチャー伝説』中国版の広告)

問:広告モデルの問題を考えたということでしょうか?

王氏:はい、そうです。これまで私たちが作ってきたゲームは全て広告モデルでした。バナー広告は入れなかったですが、全画面広告もユーザー体験にとって決して良いものではありませんでした。ゲーム性を鑑みた際、それしかマネタイズの方法がなかったというのが実際の状況です。

市場の状況を見てみると、特に欧米市場が顕著ですが、ゲーム内広告の数がとても多くユーザー体験はとても悪いと思います。私たちはその様なゲームは作りたくないと思いました。そして、広告モデルとアイテム課金のハイブリットにすることで、ゲーム体験を充分に保証した上で、更に高い売上を作れないかと考えました。

この考えを元に、比較的ライトなゲームプレイにアイテム課金のシステムを載せて、少しずつ今の形に作り上げていきました。結果として『アーチャー伝説』は、ダウンロードは良いが課金が悪い、課金は良いがダウンロードが悪い、と言った他のゲームと異なる成果を出すことができたと思います。

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プロデューサーに必要な2つの要素

問:先ほどのお話しの中でプロデューサーの話も出てきましたが、プロデューサーについて一番大切にしていることは何ですか?

王氏:プロデューサーが独自のアイデアを持っているかどうかにもよりますが、トレンドを追うだけではダメですね。問題に直面した際に、周りに嫌われてでも自分を貫くことができるかどうかが大事です。

次に、着地させる能力ですね。アイデアを実現する能力、自分を貫く力が基本にあって、そこから本当に何かを作ることができるか、が重要だと思います。

問:最終的には、プロデューサーがアイデアを出したときに、それを測るためにどのような基準があるのでしょうか?

王氏:数字的には、私たちの基準は翌日継続率は50%で、これが基準になっています。 2年前と比較して、カジュアルゲームやハイパーカジュアルゲームの全体的な継続率は減退傾向にあります。


(『アーチャー伝説』中国版の広告)

これはさっき言った広告が多すぎることに起因していると思います。また、もう一つの原因としてユーザーの選択肢が多くなり、嗜好の変化がとても速くなったことも挙げられます。ですが、私たちは依然変わらず高い目標を設定し、自分たちを追い込んで開発を行っています。

現在の市場は競争が激しいので、この数字に到達するのも容易ではありませんが、実際私たちのゲームの数字はこれよりも高いです。

数字以外の基準は、自分が遊びたいゲーム、自分の良心に恥じないゲームであることです。ゲームの数字が良ければそれで良い、ということは我々は良しとしません。開発会社として見た時によりインディーゲームぽい立ち位置だと思っていて、ゲームには理念が必要で、かりそうだからゲームを作る、と言うようなことは行いません。私たちのゲームのマネタイズが上手くいっているのはこれまでの経験とアドバンテージが効いているのだと思います。

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中国海賊版への対策

問:私たちも海外版と中国版をプレイしてみましたが、中国版では広告を全面的に使用しているなど、まだまだ違いがあることがわかりました。

王氏:海外版にも広告はありますよ。ただ、中国では海賊版が出たこともあり、フル広告モデルで課金を伴わないテストを開始する必要がありました。

もし、これを行わなかったら海賊版に市場を獲られていたと思います。この様に中国では後手の対応になってしまっていて、中国ではアイテム課金を導入したくないのではなく、中国の政策を遵守した結果だと言うことです。この影響は実はとても大きくて、損失も少なくありませんが、こうするしかありませんでした。なので、中国と海外とで戦略を分けている訳ではありません

問:ゲームの中身の質問になりますが、AIの攻撃頻度や判定時間など、海外版と中国版では微妙な違いが見受けられますが、違いがあるのでしょうか?

王氏:あるにはありますが、大きな違いはありません。 今のところ中国版はアイテム課金機能を公開できていないので、アイテム課金なしで、広告だけで収益を確保するための細かな調整が必要になります。

これも繰り返しになりますが、海外ユーザーと中国ユーザーの違いではなく、中国の環境と海賊版の問題でこうせざるを得ない状況です。


(『アーチャー伝説』中国版の広告)

問:中国では改編した海賊版をよく見かけますが、海外でも同じような状況になっているのでしょうか? どの様に対処しているのですか?

王氏:基本的に中国のプラットフォームに要請すればストアから落として貰えますし、権利を守るためのコストは思っているほど高くありません。ただ、海外ではこの様なことは滅多にありません。

問:海賊版やコピーが多い中、クリエイティビティというのはコピーできないように思います。今後の『アーチャー伝説』の方向性はどうなっているのでしょうか?

王氏:コピーを防ぐのは現実的には無理だと思います。要はコピーにかかる対価がどれだけか?ということで、良いゲームは必ずコピーされるものだと思います。

ゲームの最も難しいところはゼロからイチを生み出す過程にあるので、『なぜゲームをその様に設計するのか?』といった思考と探索のコストは非常に高いです。ですが、そうした試行錯誤を経て世に出たものをコピーすることはそれほど難しいことではありません。

『アーチャー伝説』の今後の方向性はより深さを増していくことになります。『アーチャー伝説』は荒削りなままリリースしました。私たちは起業したばかりのスタートアップで、大企業のように豊富な資金があるわけでもなかったので、急いでリリースしました。

問:ゲーム開発で一番難しいのは『ゼロからイチを生み出す過程』とお話しされました。『アーチャー伝説』でのこの過程を具体的にお話しいただけますか?

王氏:最初は『こういう操作がいいんじゃないか』というところから始めて、プロトタイプを作って、それをもう一度やってみて、という感じで一歩一歩作っていきました。 話すのは難しいですが、アイデアとひらめきがあればデモを作り、それを元にどんなシステムが使えるのかを一つづつ見ていったという感じです。先ほども言ったように、どのような稼ぎ方が良いか?を意識して作ることはしませんし、システムやコアプレイを載せ替えてゲームを出すということもありません。

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関連情報

独立出海联合体』インタビュー:こちら


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