上海交通大学130周年を記念し、4月12日に開催された講演イベントに、miHoYo(米哈游)共同創業者・社長の劉偉(リュウ・ウェイ)氏が登壇した。中国メディア『手游那点事』がその講演内容とQ&Aを書き起こしている。「小镇做题家(地方出身の受験秀才)」から世界的ゲーム企業を築いた劉偉氏が、AI時代の焦りとの向き合い方を約2時間にわたって語った。
「私も先が見えないまま、ただ前に進んできた」
劉偉氏は2005年に長沙の農村から上海交通大学に入学。英語やプログラミングの基礎が薄く、自信もなかったという。大学では図書館にこもり刷り込み学習を続けたが、成績は「上位20%止まり」。出国留学を目指していたが、2008年の金融危機でオファーがゼロとなり、やむなく母校の大学院に進学した。
大学院では「卒業要件さえ満たせばいい」と割り切り、研一で修士論文を完成。空いた時間で、塾経営・株式トレードをこなす「非典型的な交大生」たちと交わり、視野が一気に広がったと語る。その後、深圳での失敗を経て、交友のあった蔡浩宇(ツァイ・ハオユー)氏に誘われ2011年にmiHoYoを創業した。

AI時代に焦らないための3つの考え方
劉偉氏は講演の核心として、以下の3点を挙げた。
①自分が本当にやりたいことを見つける
外部の評価や「最適解」を追うのをやめ、自分の内側から湧く問いを持つことが重要だと強調。蔡浩宇氏が15年一貫して技術を愛し続け、2023年の大規模言語モデルの時代にも「なぜ学べないんだ?」と即座に飛び込んだ姿勢を例に挙げ、「本物の熱意は長い時間軸を生き抜く」と述べた。
②まず動く。完成度は後からついてくる
「交大の学生は成績優秀主義に陥りがち。最初から80点を目指すから動けない」と指摘。miHoYoも2011年の最初の作品は10点・20点の出来だったが、『崩壊2』→『崩壊3rd』→『原神』と10年かけて積み上げてきたと振り返った。「出来が悪くてもいい、出てくることが大事(出来混,最重要的是出来)」という言葉が印象的だった。
③「以終為始(終わりから逆算する)」で不確実性を分解する
目標を決め、そこから今日やるべきことを逆算・数値化する方法論を紹介。「ゴールがあれば15のタスクに分解できる。4月時点で2つしか終わっていなければ遅れがわかる。それが行動を生む」と語った。これはmiHoYoの経営戦略立案でも一貫して使っている手法だという。
Q&A:AI時代の「超能力」は想像力、コーディングの需要は変容
「AI時代に最も重要な能力は?」という質問に対し、劉偉氏は「想像力」と即答。「AIができることは急速に増えている。でも『何をしたいか』が言えない人が多すぎる。それが一番もったいない」と語った。
「コーディング需要は減るか?」という質問には、「純粋な実装作業の需要は確かに変わりつつある。ただ、Agentのアーキテクチャ設計・要件の翻訳・モジュール分解ができる人材の価値はむしろ上がっている」と現実的に回答した。
また次世代ゲーム体験については「一人ひとりに最適化されたゲーム体験——全員が同じストーリーではなく、AIがプレイヤーの行動を読んでリアルタイムで個別のシナリオを生成する体験が、3年以内に登場する」と予測。miHoYoでもすでにこの方向で開発を進めていると明かした。

まとめ
「先が見えなくてもいい、動き始めた人間に時代は応える」——これが劉偉氏の一貫したメッセージだった。AI不安が渦巻く中でも、自分の問いを持ち、小さく始め、逆算で動くという姿勢は、ゲーム業界に限らず広く共感を呼ぶ内容だ。miHoYoが「一人ひとりに最適化されたゲーム体験」という次の賭けに向けてすでに動き出していることも、今回の講演で改めて示された。
関連情報
参照元:こちら(手游那点事)
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