広東省高級人民法院はオンラインゲームの知的財産権に関する審議ガイドラインに当たる『网络游戏知识产权案件审判指引』を発表した。
同発表により『ゲームのオリジナリティの保護』と『パクりゲームのリスクがより高くなる』点が促進されると中国ゲーム業界で注目が集まっている。
ガイドラインの原則は?
以下に『ガイドラインの原則』『法律保護措置』『法律責任』『その他の制度』の4つに分けて同発表の概要を紹介したい。
■ガイドラインの原則
1. ゲームの創造性・オリジナリティの保護
ガイドラインでは『創造と運用の保護』が単独で強調されており、オリジナリティあるゲーム開発の保護が原則としてあると取れる。
2. 実態に即し、パクりゲームのリスクを高める
ガイドラインでは『業界規範と商業慣例を参考に審議を行う』との一文があることから、これまで数十万円~数百万円の賠償金が相場となっていたパクリゲームへの処罰がより厳重化するものと見られる。
■法律保護措置
1. ゲーム全体の保護
ゲームの素材が美術作品などと同じ様に著作権法上の独創性に符合し保護を受けると明確にした。また、ゲームの連続画面に関しても映画などの映像作品と同じ様に著作権法の保護を受けるとした。
2. パクりの認定基準をより具体的に
ガイドラインでは具体的なゲーム全体への類似性の判断方法が示され、全体の視聴効果、ストーリー、関連設定の体系、特殊画面の細部設計と言った内容とゲーム全体の比較、類似部分のゲーム全体に占める割合、重要度、その設計理由も含め判断するとしている。
3. サービス停止命令の申請基準の明確化
これまでの司法実践から、経済性、保全比率、保全措置、基礎事実審査などの観点から具体的な訴訟前保全措置を明確にした。
プラットフォームにも一定の責任
■法律責任
1. ゲームプラットフォームの責任
ガイドラインでは一般的にプラットフォーム側で問題を検知した後、然るべき措置を採っていれば民事責任は問わないとしつつ、必要な措置が採られていない場合、或いは権利侵害行為の存在を知っている、知りうる状態にある場合において賠償責任を負うとした。
2. パクリの違法リスクの上昇
ガイドラインでは被告やプラットフォーム側に損害賠償額算出基準となるデータの提出するよう明確にし、原告の主張と提出されたデータに基づき賠償額を決めるとした。
■その他の制度
1. 先行判決
ガイドラインではオンラインゲームの裁判は複雑で、賠償金額も多く、審議に時間がかかることから、訴訟案件の一部に先行して判決を言い渡す『先行判決』が適応できるとした。
2. 懲罰的損害賠償
ガイドラインでオンラインゲームの権利侵害における懲罰的損害賠償制度を明確にした。
今回、広東省高級人民法院が発表したガイドラインはパクられた側の泣き所であった『訴訟中に自社のゲームが潰される』『被告側やプラットフォームから正しい売上データが提出されず損害賠償額が数十万円~数百万円に抑え込まれる』と言った実態を鑑みてそれらを改善しようと言う意図が感じられる。
今回のガイドライン発表により、中国ゲーム業界がより健全化することを願いたい。
関連情報
『网络游戏知识产权案件审判指引』:こちら
—
中国ゲームについて話したくなったら: