日々中国ゲーム業界の情報を配信する中で『日本の強みとはなんだろうか?』と自問することが増えている。
1ゲームファンとしては面白いゲームであれば、それがどの国の誰が作っていようとも関係はないが、日本のゲーム業界、特にスマホゲーム領域において『もっと日本のゲーム会社発で世界的なヒット作はでないものか?』と考えることも少なくない。
日本や中国でもまだあまり注目を集めていないジャンルに『ストーリーゲーム』または『インタラクティブストーリーゲーム』と呼ばれるジャンルがある。
北米では1ジャンルとして人気を確立している『ストーリーゲーム』に中国のゲーム会社もチャレンジを始めている。
ゲームのストーリーテリングという日本の強みが活かせそうな当ジャンルの動向を以下に紹介したい。
『ストーリーゲーム』の売上規模は?
『ストーリーゲーム』とは『Choices:Stories You Play』や『Episode – Choose Your Story』に代表されるような、1アプリ内に複数のカテゴリの物語があり、それらを読み進め、分岐を選択し、その結果によって変化を遂げるストーリーを楽しむタイプのゲームだ。
(『Episode』App Storeスクリーンショット)
北米を中心に人気の同ジャンルだが、売上規模はどの程度あるのか。世界的なスマホアプリ・ゲームの分析を行う『Sensor Tower』の統計によると以下の様になっている。
中国企業も虎視眈々と狙う
日本と中国でまだ市場が確立されていない『ストーリーゲーム』ジャンルは、中国国内の競争が激しく、海外へ活路を見出す中国企業にとって魅力的に映っている。
既に『Kunlun(崑崙)』や『中文在線』と言った中国のゲーム会社が北米向けに同ジャンルのゲームをリリースし、シェア獲得に向け挑戦を始めている。
(『中文在線』の『Chapters: Interactive Stories』)
『中文在線』の『Chapters: Interactive Stories』は『Sensor Tower』の統計によると2019年3月の月売上は約4.4億円に上るという。
『ストーリーゲーム』市場の伸び代は?
スマホアプリのデータの調査・分析を行う『Apptopia』は、『ストーリーゲーム』のユーザー属性は女性が約8割で21歳以下のユーザーが8割を占めるとしている。
【ストーリーゲーム ユーザー属性】
男女比:女性78% / 男性22%
年齢分布:
10~15歳:35%
16~21歳:45%
また、『ストーリーゲーム』はユーザーの年齢層が低く、これらユーザーの年齢が上がるにつれ、課金購買力が向上することから、今後も成長が続くと予測している。
成功に必要なのはストーリーだけではない?
『ストーリーゲーム』のユーザー属性は上に紹介した通りだが、これらユーザーのリテンション等の傾向は従来のスマホゲームと比べどうなっているのか。
『Facebook』と『Pinterest』の広告出稿量ランキングをみてみると『ストーリーゲーム』の2大ヒット作である『Episode』と『Choices』がTop10の常連となっている。
*2018年1月~3月の統計
この様な積極的な広告出稿による新規ユーザーの獲得と売上の推移から『ストーリーゲーム』は高ARPU、高アクティブ、低リテンションという傾向にあると予測できる。
この2作の長期ヒットを支えているのは、面白い『ストーリーゲーム』であることはもちろんだが、それにプラスしてFacebookなどのデジタルマーケティングの手腕も優れていることが上げられるだろう。
『荒野行動』や『黒い砂漠モバイル』のようなコアなスマホゲームを日本のゲーム会社が作るか。というと恐らくその答えは『No』であろう。
『ストーリーゲーム』は日本が培ってきたストーリーテリングの強みも活かせ、中韓のコアゲームのような技術的なチャレンジもほとんどない。
市場の停滞が続く日本スマホゲーム業界にとって『ストーリーゲーム』の海外展開というのは新しい活路になるのではないだろうか。
関連情報
『Choices: Stories You Play』:https://itunes.apple.com/jp/app/choices-stories-you-play/id1071310449?mt=8
『Episode – Choose Your Story』:https://itunes.apple.com/jp/app/episode-choose-your-story/id656971078?mt=8
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一部引用:http://youxiputao.com/articles/17486
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