中国ゲーム業界で中身の濃いブログを発信している『
』氏がハイパーカジュアルゲームのトップメーカーVoodoo、Lion Studios、TabTale(CrazyLabs)、Boombit、Homa Games、Gismartが一同に介し、2020年のハイパーカジュアルゲームの動向、『WoW!』を如何に生み出すか、低コストでプロジェクトを立ち上げる方法、未来のマネタイズ方式などについて話し合ったGame Gatheringのセッション内容をまとめた。同氏に転載を快諾いただいたので、その中の『各社が語った2020年のハイパーカジュアルゲームの動向』を紹介したい。
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ハイパーカジュアルゲーム最新トレンドとは
ハイパーカジュアルゲームが世界市場を席巻するに連れ、このブームはいつまで続くか?といった議論が常に起こっています。2018年や2019年にもハイパーカジュアルゲームは既にピークを迎えた、との意見も出ていましたが、市場はまだ成長を続けています。
では、2020年のカジュアルゲーム市場のトレンドはどの様になるのでしょうか?Voodoo、Lion Studios、TabTale(CrazyLabs)、Boombit、Homa Games、Gismartの皆さんに意見を伺いたいと思います。
TabTale(CrazyLabs):ハイパーカジュアルゲームはまだ成長すると思います。そして、ゲームが収益源の多様化を求めるのであれば、より多くのコンテンツ追加が必要になります。
2019年もそれ以前も同じでした。多くの人が私に『ハイパーカジュアルゲームのブームはいつ終わるの?』と聞きました。私はハイパーカジュアルゲームは数字ゲームだと思っています。
あらゆる人がゲームのユーザーであり、誰でも遊ぶことが出来ます。競技性も対抗性も必要ありませんし、通勤時、電話中、など暇をつぶしたい時に遊ぶことが出来ます。
ユーザーのニーズが増え続ける限り、この業界は引き続き発展すると思いますし、提供されるゲームの量も増え続けると思います。毎週優れたハイパーカジュアルゲームを発見しますし、2019年末まで全ての数値は成長を示しています。なので、私はハイパーカジュアルゲームのブームが消えることは無いと思います。
(CrazyLabsの『ソープ◇カット』)
ハイパーカジュアルゲームのユーザーの大部分は非ゲームユーザーです。彼らの特性は直ぐダウンロードして、直ぐ遊び、直ぐに遊ばなくなることです。
例えば過去数ヶ月の例だと、窓を綺麗にしたり、整理整頓をする類のゲームはユーザー離脱がとても速く、ゲームライフサイクルはとても短かったです。
なので、私たちのゲームがユーザーにより多くのコンテンツや異なる体験を提供することができれば、ユーザーの継続率は良くなり、アイテム課金やその他の方法で収益をあげるチャンスが出てくると思います。
Homa Games:私はハイパーカジュアルゲームの開発~配信のフローに変化が起こると考えています。
例えば、配信に関しては、開発者の効率が上がれば、配信ツールにも変更が加わります。私もハイパーカジュアルゲームが一過性のものではない、との観点に完全に同意しますし、ストアにあるハイパーカジュアルゲームのジャンルは多岐に及んでいます。
開発者は非常に高いレベルを求められ、その水準に達していないと高クオリティのハイパーカジュアルゲームを作ることは出来ません。短期間でテストを行い、数値が悪ければ直ぐに見切りをつけ、次のゲーム開発に着手します。
(Homa Gamesの『Combine it!』)
こうした開発環境の中で開発者は自分のスキルを身に着けているので、トレンドがどうあろうと開発者は永遠の最上位者であると思います。
私は市場に広告モデルのゲームが多くある限りは、2020年もアイテム課金に移行するハイパーカジュアルゲームは限定的だと思います。もちろん、一部のハイパーカジュアルゲームはよりニッチに深さを追求していくと思います。
Voodooが語るハイパーカジュアルゲーム2つのトレンド
Voodoo:私たちは常にストア上の変化を注視し、今後数週間のトレンドを分析しています。市場には周期性があるので、2020年のハイパーカジュアルゲームがどの様な変化を迎えるのか?を述べることは難しいですが、確実に大きなトレンドは見えています。
まず1つ目にレース系、IO、パズル系です。これらは今後6ヶ月間は引き続き良好なパフォーマンスを見せると思います。ただし、クオリティの低いゲームのチャンスはより少なくなり、ジャンルの選択が正しく、CPIが低くても、ユーザーは直ぐに離脱してしまうと思います。
2つ目のトレンドは、純粋な模倣タイトルはより厳しくなると思います。Voodooではパクリ対策として専門の法務チームを設立し、大量の資金と人的リソースを用いてパクリゲームの取締を強化しています。
(Voodooのゲームタイトル)
こういった対応とは別に、パクリや模倣は長期的に持続可能なビジネスモデルではないと考えています。なぜなら、ユーザーは既に元のゲームに触れていて、低CPIで獲得できるユーザー数に限界があり、利益が出しにくいからです。
また、2020年は開発スタジオとパブリッシャーのリレーションもより重要になってくると思います。Voodooは現在250名の運営スタッフがいますが、引き続き学習とチャレンジを行い、チームの総合力を高めたいと思っています。
Boombit:確かに1年前多くの人がハイパーカジュアルゲームは死んだ、と言っていました。ただし、私たちはその後ハイパーカジュアルゲームをリリースして成功を収めました。
私たちはハイパーカジュアルゲームは無くならないし、今後も成長を続けると思っています。なので、問題は今後どの様な変化が起こるのか?だと思いますし、開発者こそが次のトレンドの創造主なのだと思います。
モノづくりは簡単ではありませんが、今後成功するゲームは異なるゲームの要素を組み合わせた融合性を持ったものになると思います。
Lion Studiosが語る3つのトレンドとは
Lion Studios:2020年は3つのトレンドがあると思います。
1つ目は大手パブリッシャーのハイパーカジュアルゲーム市場への参入です。UbisoftのGreen Pandaへの出資や非ゲーム系企業が投資者として参入するなど、事業者としてでなく、投資者としても市場に参入してきました。
これは、ハイパーカジュアルゲームの将来性を証明していると思います。そして、大手パブリッシャーの参入はインディ系の開発者が自社開発自社運営を行うことがより難しくなることを意味しています。
2つ目は新しいビジネスモデルの創出です。広告モデル以外にもアイテム課金など新しい収益モデルが必要になると思います。
(『Coin Trip』)
3つ目は多様化です。『Coin Trip』でチャレンジを行いましたが、少し遊びすぎたかもしれません。我々は今後もチャレンジを続けその中から経験を積んでいきたいと思っています。
2020年は開発者は自分たちに合ったビジネスモデルとパブリッシャーを見つける必要があると思います。
Gismart:皆さんが多くを語られたので、私は新興市場に関して一言述べたいと思います。
2020年の新勢力として中国のハイパーカジュアルゲームが上げられると思います。中国のカジュアルゲームパブリッシャーは現状あまり評価されていませんが、中国は巨大なマーケットであり、多くのビジネスチャンスがあります。
中国のiOS端末数は米国と同じくらい多いので、配信時に中国市場を視野に入れることで大きな収益を得ることも可能です。なので、開発時に中国ユーザーの好みや中国市場のトレンドを意識することが大事だと思います。
中国は女性ゲームユーザーが多いのも欧米市場と異なる点で、これも一つのビジネスチャンスだと思います。
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Game Gathering当該セッション動画:こちら
『罗斯基』氏のWechat記事:こちら
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