上海市、海外ゲーム企業に向けた新たな試み──開発中ゲームを「国産」扱いにする政策試行も視野に
2025年7月7日、上海市人民政府弁公庁は『ソフトウェアおよび情報サービス産業の高品質な発展を促進する若干の措置(上海市促进软件和信息服务业高质量发展的若干措施)』を発表した。この施策は2025年7月1日より実施され、有効期限は2028年6月30日までとされている。
今回発表された施策の中の「ソフト・情報産業の新たな成長エンジン育成に向けた支援策」の章では、ゲーム産業を含むデジタルコンテンツ分野への具体的な支援が明記された。
今回の上海市の発表で注目すべきは、以下の政策内容だ:
- デジタルコンテンツ産業の集積地を支援
- ゲーム・映像・音楽・ライブ配信・ショートドラマ・短尺動画などのコンテンツ制作から流通、運営までを後押し
- 海外のゲーム企業が上海で開発したゲームを「国産ゲーム」と同等に扱う試験的政策の実施
- デジタルコンテンツに対する著作権を担保とした資金調達(著作権質押)を支援
責任機関は市経済情報化委員会、市新聞出版局、市金融弁公室、上海金融監督局、および各区政府とされている。

上海にはUbisoft、EA、Activision Blizzardといった世界的なゲーム企業の支社が多数存在しており、ゲーム産業の国際化は中国国内でも際立っている。現在、中国でゲームをリリースするには『版号』の取得が不可欠だが、毎回発行される版号の数は中国産ゲームが圧倒的に多く、例えば2025年6月は国産ゲーム147件に対し、海外産ゲームはわずか11件だった。
この新政策により、海外企業による中国国内開発のゲームが『国産扱い』となれば、版号取得のハードルが下がり、より多くのゲームが、より迅速に市場投入されることが期待される。
さらに、中小規模の開発チームにとって朗報と言えるのが『著作権質押による融資試行』だ。
ゲームの開発からリリースまでは、資金繰りが最も困難なフェーズとされる。資金難のため、本来の契約よりも完成度が低いままやむなくリリースに踏み切る事例も少なくない。
今後、申請済みの著作権を担保に資金調達が可能となれば、より多くのプロジェクトが“完成度を妥協せず市場に出せるようになるかもしれない。
関連情報
上海市発表原文:https://www.shanghai.gov.cn/gwk/search/content/a981fd8d59e342f094dc5ebea47c6730