日本と中国のゲームビジネスにおける商習慣の違いからくるトラブルは日常茶飯事だ。日本企業同士でもトラブルは絶えないが、中国企業同士でも同様に各種トラブルを抱えている。
中でもデベロッパーがパブリッシャーからの“レベニューシェア分配金をスムーズに受け取れない“被害が頻発しており、ある種暗黙の了解と言われるほど常態化しつつあるという。
売上金回収の問題は日中間のゲームビジネスでも注目度の高いトピックと思われる。以下に中国ゲームメディア『遊戯葡萄』と中国の弁護士事務所『诺诚律师』が紹介する売上金回収のポイントを要約して紹介したい。
中国企業の未払い 契約書で気をつけるポイント
売上金未回収問題発生の背景:
・パブリッシャーとデベロッパーの関係が対等ではなく、パブリッシャー優位。
→ ゲーム業界メディアの公開調査では70%のデベロッパーが半年以上の支払い遅延を経験
→ 僅か4%のデベロッパーが3ヶ月以内にレベニューシェア分配金支払いを受けた
契約書上の対策:
1.売上基準の定義
→ AppStore、Androidマーケットの手数料
→ 広告収入
→ チャネリング先の手数料
→ 決済異常
などの要素を双方で定義付けする。
2.ダイヤ配布、自社課金の有無
→ ユーザーに配布したダイヤ
→ 自社課金の有無
これらをレベニューシェアから差し引くのか、事前に取り決める。
3. 売上レポート、支払い日の明確化
→ 売上レポート、支払い日の期日を契約書に明記
4. 支払い遅延金の設定
→ 契約書上に支払い遅延金を明記
ゲームビジネスに携わる方であれば、これらは当たり前のこと。と感じられるだろうが、問題が起きる時というのは往々にしてこれら“当たり前のこと“がしっかりとできていないことが多く、問題が起きたあとに翻って見てみると、これらができていなかった、というケースを見聞きした人も多いだろう。
日本でも中国でも契約書にしっかりと落とし込むことが重要なのは変わらない。
日常業務や事後の対応策は?
上に紹介した契約書上の対策などで支払い遅延や未払いを回避できれば良いが、それだけでは不十分な時もある。契約書上以外の対策や支払いが滞ってしまった際の事後対策を以下に紹介したい。
日常業務上での対策:
1. 書面やメールでの支払レポート
→ Wechatなどのメッセンジャーで支払い確認を終わらせず、メールや書面にて支払いレポートを要求する。
2. サーバー課金データの保存
→ サーバーのゲーム内課金データを保存。売上確認の根拠にする。
事後対応:
1. 即時催促、書面での確認
→ 経理部門や会計士から書面もしくはメールでのコンフォートレターを送る。
→ コンフォートレターには未払金額と期間を明記し、毎月送付し催促する。
2. 弁護士の介入
→ 弁護士レターの送付
→ 協議や調整の余地が無い場合、訴訟
また、会社倒産や破産は支払いの免責には当たらないと、中国『破産法』第十七条規定にあり法的手続きを踏むことで、支払いの請求を続けることができると言う。
事前事後の対策に日中大きな違いはないが、中国企業間でも未払いの問題があり、中国企業も上の様な対策を講じていると知ることで、日本企業としても学びになる点があるのではないだろうか。
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引用元:こちら
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