1月20日、中国大手のNetEaseは中国・広州にて『2019網易遊戯開発者峰会』と題した開発者向けのカンファレンスを開催した。
そこで『荒野行動』のプロデューサーである丁超氏が日本市場での大ヒットの要因や、全世界展開における開発・運営体制の裏側などを語った。
講演内容が豊富であるため、複数回に分けて紹介する予定だが、今回は全世界展開における開発・運営体制とその落とし穴や日本サーバー誕生の理由についてまとめたのでご覧いただきたい。
荒野行動の開発・運営体制は?
(以下、丁氏の発言)
これまでNetEaseは中国国内は自社開発・自社運営。海外は自社開発・他社運営、というモデルで行ってきました。
『荒野行動』は恐らくNetEaseが初めて全世界に向け自社開発・自社運営に取り組んだタイトルであると思います。
開発初期は5名のプランナーと6名のプログラマで中国版、海外版の開発を行いました。
FPSの開発経験がなかったので、苦労しましたが、MOBAタイトルの開発経験があったこと、競技対戦系ゲームの開発経験が7,8年と豊富であったことが奏功し、どうにか開発を進めることができました。
海外版の運営チームは最初期で3名、現在でも10名と非常に少数で行っており、この話しをすると皆さんとても驚かれます。
『荒野行動』の開発思想とは?
『荒野行動』はプロジェクト立ち上げ当初から全世界展開を念頭に置いていました。
そして、1バイナリで全世界展開を行っている、Supercell社の『クラッシュ・ロワイヤル』と同じ様に1バイナリ、全世界同一サーバーでの世界展開を目指しました。
開発で工夫を行った点は、各国同時展開を前提とし、UI制作時には原則中国語の使用を禁止にした点が挙げられます。
これはかつて陥った開発の落とし穴で、その当時のプロジェクトではUIを中国語で制作しており、各国言語対応の負荷が非常に高かったという反省がありました。
それを踏まえた結果『荒野行動』の開発では原則UIでの中国語使用禁止としました。
例外として大きなバナーなどは中国語で制作することがありますが、そうすると『中国語大バナー*各国言語数』と、アプリの容量を逼迫してしまうため、アップデート時に別途ダウンロードを行う作りにして対応しています。
こうした対策を講じて、過去に陥った落とし穴を回避することができたことで、中国版完成から10日後には海外版を完成させることができたのではないかと思っています。
全世界向け運営の工夫とは?
ゲームのリリース版の開発が完了し、運営フェーズになると、それまで以上に翻訳の速度と質が重要になります。
これを解決するために『荒野行動』ではPC版のメンテナンスをスマホ版より1週間早く実施し、PC版のメンテ完了からスマホ版メンテまでの1週間で、翻訳の品質を向上させるようにしています。
また、定期メンテナンスの時間も全世界同時展開時に考慮すべき点の一つで『荒野行動』では、基本中国時間の午前8時頃に設定しています。
こうすることで、日本では午前9時、東南アジアでは午前7時、北米では午後4~5時と主要なマーケットでの影響が最小限におさえられるのではないかと思っています。
日本サーバー誕生の理由とは?
2017年12月から2018年1月にかけて『荒野行動』は全世界展開を開始しました。
世界各国で広告出稿を行いましたが、ユーザーの伸びは想像していたほど速くはありませんでした。
ただ、日本市場を見てみると、ユーザーの定着率が短期、長期ともに良い数字で、20日目の定着率は米国やブラジルユーザーのの3~4倍にもなっていました。
またリリース後に、『世界同一サーバーで世界のユーザーとプレイするのが良いか?』それとも『日本サーバーを用意して日本のユーザー同士でプレイするのが良いか?』と日本で実地調査を行いました。
その結果、『日本の90%のユーザーが日本ユーザー同士でプレイしたい』と回答したため、戦略の調整を行い、日本サーバーを用意することにしました。
北米にも北米サーバーがありますが、これは接続遅延対策のために用意しているので日本サーバーとは目的が異なります。
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引用:http://youxiputao.com/articles/16954
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