China Joy2018の期間中、「遊戯葡萄」が游族CPO張雷氏に行ったインタビュー記事の続編では「Game of Thrones」の開発状況や今後中国ゲーム市場が直面するであろう2つの苦難などが語られた。
インタビュー内容は以下。
前編はこちらから!
【China Joy2018】游族CPOインタビュー
最高のリソースを投下して作る「Game of Thrones」スマホ版
葡萄:「Game of Thrones」のIPを獲得し開発されていますが、どのような問題点がありますか?
張氏:1つ目はIPがとても特殊で、ファンの方々は既に色んな知識を持っているという点です。
なので、ゲームのクオリティを高くしないと、このIPのファンの方々には通用しないと考えており、そこが問題点でもあります。
2つ目は中国国内の沿岸地区などの大都市部以外の地域ではこのIPはあまり知られていない点です。
葡萄:現在までに投資されたコストはどれくらいなのでしょうか?
張氏:すでに15億円以上(1億元)を超えています。私はこのタイトルはTencentでも最高ランクの評価を得られると考えています。(このタイトルはTencentパブリッシング)
『Game of Thrones』はSLGとしてどうあるべきか?
葡萄:先程、游族の新プロジェクトは30~40%の差別化要素を入れている、とのお話しでしたが、このタイトルはどのような位置づけなのでしょうか?
張氏:原作ストーリーの中国語翻訳の方を外部顧問に起用するなど、原作を忠実に再現しつつも、そこから細部やゲームプレイにおいて新規要素を入れています。
これまでのSLG系のゲームとは一線を画するタイトルになっています。
葡萄:これまで多くのSLG系ゲームがグラフィックに力を入れてきましたが、こういったSLG系ゲームのグラフィック水準の向上という流れをどう思いますか?
張氏:私はまず、「そのグラフィックの方向性が正しいかどうか」が大事で、それが正しい方向性であった場合に、その先のグラフィックのクオリティに関して論じるべきだと考えています。
前者の「グラフィックの方向性が正しいかどうか?」はとても重要ですが、往々にしてないがしろにされがちです。
葡萄:業界的にはSLG系ゲームのバトル表現をリッチにするべきかどうか?という問題に対し意見が別れています。張さんはどう思われますか?
張氏:これからは重要さが増してくると思います。なぜならユーザーの目が肥えてきているからです。
過去のSLGだと翌日リテンションが30%あれば良い数字だと言われていました。原因は伝統的なSLGのゲームプレイだと初期に建築系の要素があり、ユーザーは達成感や自身のゲーム内での存在感をあまり感じることができずにいました。
今ではこれらの問題はRPGの良いところを取り入れることで解決されつつあります。かつてのSLG系ゲームであればバトルのリッチ化は不要だったのかもしれませんが、RPGとの融合が進んだ今、バトルもやはりリッチにしていく必要があると思っています。
葡萄:「Game of Thrones」は大体いつ頃リリース予定でしょうか?
張氏:具体的な時期はTencentと相談して決めることになると思います。ただ、来年は「Game of Thrones」のファイナルシーズンの放送があるので、それまでには出したいと思っています。
中国スマホゲーム市場の今
葡萄:今の時代、スマホゲームはますますビジネスがしづらくなってきているのではないでしょうか?
張氏:毎年難しいですね。ただそれぞれ難しさのポイントが異なります。過去数年は速度が求められました。ここ最近は質がより大事になってきています。
そしてこれから先数年は「0→1」を生み出す力が必要になるでしょう。私はこれから中国ゲーム業界において2つの苦難が待ち受けていると考えています。
一つはユーザーの進化速度への対応、もう一つは早く儲けたいという欲です。
葡萄:游族の今のゲーム市場での立ち位置は?
張氏:全方位に展開している企業として、各領域のノウハウが蓄積してきています。今年はゲームをしっかりと作り込み、質と差別化、ユーザー体験を重視していきたいです。と答えると平凡で面白みのない答えになってしまいますが、私達の心構えを表していると思います。
葡萄:確かに御社はゲームをじっくり作り込む体力がありますね。
張氏:そうです。じっくり時間をかけることが、結果近道になると思っています。
葡萄:今はゲームの成功率に関し注目が集まっています。游族のような規模の会社ではどのように成功率を担保しているのでしょうか?
張氏:内部的には売上ランキングTop10級タイトルを大ヒットタイトルと定義付けています。業界的にもS級タイトルが出てくる確率は1%程度と言われています。
なので、私達の要求はとてもシンプルでこれら大ヒットタイトルの出現率を1%から2%にすることです。これができれば2倍の確率で大ヒットタイトルを作り出せる、ということになります。
具体的な手法としては、ゲームのジャンルごとにスタジオ化して組織を分けています。そうすることでノウハウの蓄積と継承がスムーズに行われます。
またプロジェクト化の際には差別化とクオリティラインを明確にし、そこにIPの力を借りて、新しいゲームユーザーの開拓にチャレンジする、といったかたちです。
葡萄:大ヒットタイトルのハードルはどれくらい高いですか?
張氏:期間的には新しいスタジオだと2年は必要だと思います。練度の高いスタジオでも1年は必要でしょう。
コスト的にはMMOの場合、4.5億円(3000万元)以下だとユーザーが満足するようなものは作れないと思います。
ここからマーケティングコストなどを加算していくとコストは更に倍々で膨らんでいきます。
全体的には少なくとも15億円(1億元)以上は必要で、SLG系など他のコアゲームも同じような感じだと思います。
中でもコストが一番かかるのがマーケティング費用で、その次にグラフィックやストーリーなどゲームの世界観を担う部分の制作費用です。
葡萄:游族では開発スタジオに時間とチャンスをどれくらい与えているのでしょうか?
張氏:游族ではそれほど高いハードルは設けないようにしています。特にカジュアルゲームやH5ミニゲームなど、新しいジャンルを作っているスタジオに関してはそうです。
私達は収益的な成功よりも、ゲームのアクティブさとユーザー数をより重視しています。
以上、前後編に分けて游族CPO張氏のインタビューを紹介した。
氏も語っているが、これから「0→1」を生み出すクリエイティブ力が必要になることは中国ゲーム業界全体が意識している点でもある。
このあたりにもゲーム業界における日中ビジネスの種があるのではないだろうか。
前編 【China Joy2018】游族CPOインタビュー はこちらから。
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Original Source: http://youxiputao.com/articles/15663
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