中国ゲーム大手『テンセント(Tencent)』はオリジナリティのあるゲーム開発をサポートするため『テンセント イノベイティブ ゲームス サポートプラン(騰訊創意游戯合作計画)』として、コンサルティングや技術交流、資金援助やパブリッシングのサポートまで各種支援を行っている。
その一環として、開発者向けに専門性の高い情報を発信しているWechat公式アカウント『騰訊GWB游戯無界』がある。
『テンセント』の主力タイトル『王者栄耀』や日本IPの『聖闘士星矢(騰訊)』や『魂斗羅:帰来』の開発を担当した『テンセント』の『TiMi Studio Group』のプランニング副総監である張氏がインタビューで語った、中小規模チームのゲーム開発における心得とは?要点を以下に紹介したい。
プロジェクト立ち上げに必要な3つの問いとは?
目標は明確か?3つの問いかけをせよ!
ゲームを作る前に自分に3つの問いかけをしなければならない。
1.なぜこのゲームを作りたいのか?
2.ゲームのターゲットユーザーは誰なのか?
3.数あるゲームの中から、ユーザーはなぜこのゲームを選ぶのか?
の3つだ。
(『テンセント TiMi Studio Group』プランニング副総監の張氏)
この3つの自問に明確な答えが出せたら、このゲームを作るべきか否かははっきりしているだろう。
大企業であれば、市場分析、トレンド予測、ビッグデータ、ユーザー調査など各方面から検証を行いプロジェクトの可否が決定されると思う。
これら大企業のようなリソースが無かったとしても、できる限り自身の経験やコネクションを活かして、ターゲットユーザーのリサーチし、それらターゲットユーザーから先に意見を貰うことがとても大事だ。必ずゲームの成功確率が上がる。
ヒット作を作りたければ視点を変えろ
ゲームのオリジナリティが成功の鍵であることは間違いない。ただ、中小規模の開発チームが必ずしも『Inside』のようなユニークな小規模ゲームを作らなければならない訳ではない。
『PUBG』の大ヒットを皮切りに、競争が熾烈で大型化の一途を辿るバトロワ系でも、『香肠派对(ソーセージマン)』といったタイトルが人気を得る例もある。
(ソーセージマンのストア画像)
『ソーセージマン』の成功要因はターゲットユーザーを低年齢層に絞ったことにある。低年齢層ユーザーはリアルなグラフィックは好まないため、同作のモチーフは低年齢層向けに振り切られている。
低年齢層ユーザーはバトロワ系ゲームを遊ばない、と思うかもしれない。ただ、視点を変えればそこに市場の隙間があると言える。
主観を恐れるな
中小の開発チームがプロジェクトを立ち上げる際、主観と経験を元に判断することが多いと思う。
1.自分や自分のチームが好きなジャンルであること。
2.自分や自分のチームが得意なジャンルであること。
が大事で、主観は恐れなくても良い。
ゲームの成功確率を高めたいのであれば、自分の好きなジャンルを開発するべきで、流行りのジャンル、若しくは自分が流行ると予測するジャンルを開発するべきではない。
中小の開発チームは経済的なリターンをチームに還元することは難しく、経済的な面でチームをまとめることは現実的ではない。こういった点も踏まえると、自分達の好きなゲームを作る、という点で目標を合致させ、自分たちの得意なゲームを作ることが大切だ。
張氏が語った中小開発チームのプロジェクト立ち上げ時の心得は、一見シンプルに見えるが本質を突いている。最後に触れられた経済的に厳しい旨の発言は、中国の中小開発チームも厳しい状況の中ゲーム開発に挑んでいる様子が伺える。
中国ゲーム業界の王者とも言える『テンセント』が自社へのリターンも折り込みつつも、業界発展の為に各種支援を行っている点は率直に素晴らしいと感じる。
同アカウントでは有益な情報発信が多いため、今後も折を見て紹介していきたい。
関連情報
『テンセント イノベイティブ ゲームス サポートプラン』公式HP:https://gwb.tencent.com/
『騰訊GWB游戯無界』Wechat ID:Gad-GameDev
『ソーセージマン』TapTapページ:https://www.taptap.com/app/58881?region=jp
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引用:https://mp.weixin.qq.com/s/mJxuh6wgFss9kMLMWOwujg
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