今月も前回と同じく第三金曜日を基準日として日本市場における中国スマホゲームの定点観測を行いたい。
日本市場のゲームカテゴリセールスランキングでTop100入りしているのは、App Store26タイトル、Goole Play31タイトルで、『魔剣伝説』『パーフェクトワールドM』が新たにランクインした。
『魔剣伝説』は中国で良く見られるマーケ手法を日本でも踏襲してヒットに繋げている。
日本市場の中国ゲーム売上ランキング
5月15日(金)の日本のApp StoreとGoogle PlayゲームカテゴリのセールスランキングでTop100入りしていた中国産スマホゲームは、App Store26タイトル、Goole Play31タイトルとApp Storeは先月から1タイトル増、Google Playは10タイトル増となった。
先月リリースされたテンセントゲームズが配信を行う次世代MMO『コード:ドラゴンブラッド』はApp Storeセールスランキング最高9位と好調を維持しており、日本では後発となったZlong Gamesが配信を行う次世代MMO『パーフェクトワールドM』を抑え、Top30圏に位置している。
注目は4399の縦持ちMMO『魔剣伝説』で5月24日にはApp StoreでTop10入りを果たしている。同作は伊藤英明氏をイメージキャラクターに起用し、分かりやすくベタな広告クリエイティブを大量に出稿するという、同系ジャンルのゲームに良く見られる中国現地のマーケティング手法を踏襲している。
一見日本受けが難しそうなグラフィックとゲーム性、加えて中国現地的マーケティング手法が日本市場で受け入れられるか動向が注目されたが、今のところ大成功と言えそうだ。
(魔剣伝説の広告クリエイティブ)
魔剣伝説のマーケ素材は?
広告効果計測ツール『App Growing』の統計による『魔剣伝説』の4月20日から5月24日までの広告出稿状況は以下の通りだ。
■『魔剣伝説』日本市場広告出稿状況
出稿件数:660件 (App Store:534件 / Google Play:126件)
広告形態:
・全画面動画(App Store:77% / Google Play:31%)
・動画(App Store:8% / Google Play:38%)
・バナー(App Store:15% / Google Play:31%)
* 『App Growing』海外版は随時海外媒体を追加中とのことだが、日本市場ではまだトラッキングできていない媒体もある。実際の出稿状況はこれよりも多いと思われる。
『魔剣伝説』の出稿状況はApp Store向けがGoogle Play向けよりも多く、これは他のタイトルと大きくは変わらないだろう。
■『魔剣伝説』クリエイティブパターン
①有名人起用
伊藤英明氏を用いた広告素材は動画広告も含め多数展開。アプリやツイッターのアイコンにも使用されている。
人気声優の梶裕貴氏が簡単なゲーム紹介を行う動画広告。
② 報酬を全面に推しだす系
インゲームや有名人などの実写素材だけでなく、イラスト素材も活用し、異なる層に訴求している。
③ インゲーム素材(実際のゲームとは異なるものも使う)系
ゲームの広告にゲーム画面を用いるのは常套手段だが、中国系パブリッシャーに良く見られる、実際のゲームとは異なるイメージとしてのゲーム動画広告も使用している。実際のゲーム映像を使っているものもあったが、比率としてはイメージ動画のほうが多いようだ。
④ 女性がゲームを紹介する系
これらのクリエイティブから『魔剣伝説の』マーケティング素材は以下を軸に構成されていることが分かる。
■『魔剣伝説』マーケティング素材の軸
・有名人起用で幅広い層にリーチ
・サクサク成長するゲーム性
・豪華なインセンティブ
・男性ユーザーを中心に狙う
今後は中国、欧米市場で大ヒットを記録したLilith Gamesの放置系RPG『AFKアリーナ』がリリースされる。
『コード:ドラゴンブラッド』や『魔剣伝説』に見られるように、中国ゲームパブリッシャーの日本市場におけるマーケティング手法は確立されつつある。既に『Rise of Kingdoms』で日本市場で大規模プロモーションを成功させているLilith Gamesとあって、『AFKアリーナ』のヒットはほぼ間違いが無いように思われるが、実際どの様な結果になるのかリリースを楽しみにしたい。
関連情報
前回の日本市場定点観測記事:こちら
App Growing海外版:こちら
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